2013年10月アーカイブ

平成25年10月3日午後3時45分に甲府地裁で裁判員裁判の判決がありました。求刑は懲役6年でしたが、判決では懲役3年、執行猶予5年、保護観察付でした。平成21年から裁判員裁判が実施されていますが、当事務所では裁判員裁判を受任したことがありませんでした。初めての裁判員裁判で執行猶予を取ることができたのは良かったです。強制わいせつ致傷の事件です。弁護士小笠原忠彦と山際誠が担当しました。裁判員裁判では、裁判員の市民感覚から強姦、強制わいせつなどの性犯罪では、重罰化の傾向になってきていると思います。ですから実刑判決の可能性も十分ありました。結局、示談が出来ていないのに強制わいせつ致傷で執行猶予が取れたのは、良かったと思います。性犯罪は、誰が犯してもおかしくない犯罪です。報道を見ていても、大学教授や警察官でも性犯罪の犯罪者になったりしています。ストーカー行為や盗撮をした裁判官もいたほどです。上司によるセクハラ行為で裁判になるケースは枚挙にいとまがないほどです。性犯罪は特殊な、特別な変質者の犯行というよりは、誰でも状況によっては犯罪者となってしまう犯罪です。その上、今や、スマホやタブレットで未成年者でも女性でも、お年寄りでも、誰でも手軽にわいせつ画像を見ることが出来る社会になっています。わざわざわいせつビデオを買う必要がなくなり、わいせつビデオ屋がもうからない時代です。このような倒錯した情報があふれている時代では、性犯罪者にただ重罰を課せばよいとはいえません。性犯罪は状況によっては誰でもかかる一種の病気のようなもので、むしろ治療が必要です。この裁判では、性犯罪者更生プログラムの第一人者である福井裕輝医師に証人で出廷してもらい証言してもらいました。性犯罪者に重罰を科してもいずれ出所します。適切な治療がなければ、性情報があふれる社会に戻り、前科者というハンディから就職できず、あるいは失職したりするストレスから、再び性犯罪を犯す危険があります。福井医師は、性犯罪者に重罰を科すより、治療によって犯罪者を減らすことの方が重要であることを力説されておられました。その通りだと思います。

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