弁護士についてのブログ記事

もうずいぶん前のある夜のことです、私は溜った仕事がやりきれず、事務所で遅くまで仕事をしていました。夜9時か10時を過ぎた頃でしょうか。事務所の電話が鳴りました。電話に出ると、相手は名乗りもせず、突然「自分は今さっき人を殺してしまいました。そんな自分でも相談に乗ってくれますか」と言いました。びっくりしました。しかし、こんなとき弁護士は答えるのに躊躇してはいけないのです。弁護士の答えはこうです。「弁護士の最大の仕事で、最大の義務は依頼者の秘密を守ることです。どんなに優れた弁護士でも、これができなければ失格です。弁護士はあなたを警察に突き出したり、通報はしません。自首を勧めるくらいのことはあるかもしれませんが、安心して相談に来てください。」結局、その人は相談にやってきました。もっとも、その方は殺人者ではありませんでしたが、しかし、他人から見れば、それほどのことではなくとも、本人にとっては、殺人を犯したのと同じくらい深刻なことはあるものです。殺人者の秘密をも守ってくれるなら、自分のことも守ってもくれるに違いないというのが、弁護士に対する信頼なのです。

弁護士倫理について

弁護士が高い倫理と品性を求められるのは、弁護士が基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とするからです。金銭が望みなら商人になればいい。権力が望みなら官僚になればいい。弁護士は金銭や権力に目を奪われ、心を動かされた瞬間に、弁護士たる資格を失うのだと思います。

弁護士の品位について

医師や公認会計士等の多くの専門職の中で「職務の内外を問わず品位の保持」を求められているのは弁護士に限られています。職務の内外を問わずとされている弁護士以外の職務では裁判官と国会議員がありますが、裁判官は「職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行」が罷免事由とされ、国会議員は「職務の内外を問わず。その信用を失うような行為があってはならない」とされています。しかし、非行や行為が問題とされ品位は問題とされていません。それは裁判官や国会議員がいても法の支配は貫徹されない。法の支配を貫徹させ、法を創造するのは、弁護士であって、弁護士は最も崇高な任務を負っているからです。弁護士が、高い品位の保持を求められるのは、弁護士が基本的人権の擁護と社会正義の実現という崇高な目的を持っているからだけでなく、なにより依頼者の目線で、依頼者の立場で、社会的弱者である依頼者と一体になって、闘うからこそ、より高い品位の保持が求められるのです。

弁護士バッジについて

私は、常に弁護士バッジを身に着けるようにしています。よい意味で象徴を利用するべきであると思うからです。弁護士バッジは弁護士の象徴です。象徴は、常に身近にあること、常に敬意を払うことによって、そのバッチのためには、命を落とすことも厭わなくなるものです。弁護士バッジはそれをひけらかすためにあるのではありません。それは弁護士のプライドの象徴です。民衆への奉仕、人権と自由への貢献、それは強い義務と自己犠牲をともなうものです。弁護士バッチを付けていることは強い義務を果たす決意であると言う意思表明であり、弁護士のプライドの証しなのです。

平成23年12月21日から、甲斐の杜法律事務所に山際誠弁護士が勤務しています。山際誠弁護士は34歳で、新潟県出身で、京都の立命館大学を卒業後、司法試験の旧試験を合格した現行63期の弁護士です。山際誠弁護士は当事務所に入所してすでに3か月を経過しましたが、精力的に仕事をこなしてくれています。真面目な人柄で人権感覚にすぐれた弁護士ですので、甲斐の杜法律事務所としては、山際誠弁護士の法律家としての成長に期待しているところです。山際誠弁護士を迎え、これからますます、依頼者の皆さんの期待に応えられるような充実した体制を作るよう弁護士及び事務員一同努力していきます。

今の時代、弁護士をしているとどうしても離婚事件の相談が多くなります。私がこれまで離婚事件を数多く担当して、率直に分かったことがあります。それはこの世の中で最も難しいことは何かということです。司法試験の合格も難しいかもしれない。月に人間が行くことも難しいかもしれない。首相になることも難しいかもしれない。しかし、この世の中で一番難しいのは自分の妻と自分の母親を仲良くさせることです。これは難しい。最も素晴らしい妻と最も素晴らしい母親でもうまくいかない。おまけに最悪なのは世の中の男性、夫がこのことを知らないことです。「こんなにお前のことを思っているお袋とどうして仲良くできないんだ」と思ってしまいがちです。この思い違いから、本当は別れなくてもいい夫婦が険悪になっていきます。相談にのっていて残念な思いをしたことが幾度もあります。夫の苦労も多いのですが、この世の中で一番難しいのは自分の妻と自分の母親を仲良くさせることだということをぜひ理解して下さい。

弁護士になって最初に最初に依頼者に自信を持って言える知識は「保証人にだけは絶対にならないように」という言葉ではないでしょうか。おそらくすべての弁護士はそうアドバイスすると思います。連帯保証制度くらい悪い制度はない。増加している自殺の原因としても大きなものがあります。親族や身内が犠牲になり、自分の借金ならまだしも他人の借金でなんの利益もないまま一切の財産を失い、一生、自分を責め、身内を責めることになります。保険や物的担保の発達した現代、江戸時代の連帯責任をほうふつとさせるような連帯保証制度はなくなるべきだと思っています。今、民法改正の動きがありますが、日本弁護士連合会は保証制度改善の提言として今年9月15日に、主債務者が消費者である場合における個人保証の禁止及び主債務者が事業者である場合における経営者以外の第三者の保証の無効の提言を行っています。保証人は頼まれても、なってはいけません。個人に保証を依頼する時点ですでに主債務者に返済能力はないと思ってください。
家庭内での紛争は世間体もあり、どうしても当初、家庭内で解決しようとするものですが、身内同士で解決しようとしても、身内同士では感情が入り込むので紛争を激化させることがほとんどです。親戚の有力者を入れて解決しようとしても、今度は親戚も巻き込んだ大掛かりの紛争に発展してしまいます。私のこれまでの経験からすると、家庭内での紛争は早めに弁護士に入ってもらったり、家庭裁判所の調停を申し立てた方が賢明で、紛争を早期に円満に解決することができます。いい例が夫婦間の争いです。夫婦の間でいくら激しい喧嘩をしても、仲直りすることは比較的容易です。しかし、この争いに双方の親が介入してくるともうその時点で、やり直すことは不可能になります。それどこか話し合いの解決も困難になります。紛争がエスカレートする前にできるだけ早く弁護士にご相談ください。

1994年1月から2002年末まで私は小笠原忠彦法律事務所という名前で事務所を経営していました。2002年の9月11日の夜に長倉智弘弁護士と話をして、一緒に事務所を開設しようということになりました。話がまとまってテレビのニュースを目にしたときニューヨークの巨大なビルに旅客機が突っ込んでいく映像が映りました。大変な事故が起きたと思いました。ともあれ、事務所を始めることになり、名前をどうするかということになりました。長倉弁護士は環境問題に関心があり、私も環境は大切だと考えていたので、環境や自然をイメージした名称にしようと思いました。それで「みどり」とか森とか考えたのですが、杜の字をつけることにしました。山梨県は旧国名を甲斐の国といいます。それで甲斐の杜がいいのではないかということになりました。杜は語感として守るに通じるものがあり、権利や自由を守るに通じるものがあるような気もしました。それで甲斐の杜法律事務所としたのですが、なかなか気に入っています。

長倉智弘弁護士の紹介

甲斐の杜法律事務所の弁護士は私と長倉智弘弁護士です。長倉智弘弁護士は甲府市の出身で、私と同じく一橋大学法学部の出身です。私は刑事法の村井敏邦ゼミで長倉弁護士は民事訴訟法の竹下ゼミの出身です。長倉弁護士の得意分野は行政訴訟や環境訴訟です。山梨学院大学法科大学院や山梨大学で環境法の講義も持っています。甲斐の杜法律事務所発足のときから、長倉弁護士と一緒です。長倉弁護士と一緒に事務所を立ち上げたのは、大学が同じということもありますが、私が苦労していた北杜市長坂町の産業廃棄物処分場の事件を一緒に闘ってくれたこと、東京から長倉先生が戻ってから、自由法曹団の活動にさんかしてくれたことからです。今年の12月から新人の山際誠弁護士が新しいスタッフとして甲斐の杜法律事務に加わってくれることになりました。よろしくお願いします。