弁護士についてのブログ記事
弁護士が高い倫理と品性を求められるのは、弁護士が基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とするからです。金銭が望みなら商人になればいい。権力が望みなら官僚になればいい。弁護士は金銭や権力に目を奪われ、心を動かされた瞬間に、弁護士たる資格を失うのだと思います。
医師や公認会計士等の多くの専門職の中で「職務の内外を問わず品位の保持」を求められているのは弁護士に限られています。職務の内外を問わずとされている弁護士以外の職務では裁判官と国会議員がありますが、裁判官は「職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行」が罷免事由とされ、国会議員は「職務の内外を問わず。その信用を失うような行為があってはならない」とされています。しかし、非行や行為が問題とされ品位は問題とされていません。それは裁判官や国会議員がいても法の支配は貫徹されない。法の支配を貫徹させ、法を創造するのは、弁護士であって、弁護士は最も崇高な任務を負っているからです。弁護士が、高い品位の保持を求められるのは、弁護士が基本的人権の擁護と社会正義の実現という崇高な目的を持っているからだけでなく、なにより依頼者の目線で、依頼者の立場で、社会的弱者である依頼者と一体になって、闘うからこそ、より高い品位の保持が求められるのです。
私は、常に弁護士バッジを身に着けるようにしています。よい意味で象徴を利用するべきであると思うからです。弁護士バッジは弁護士の象徴です。象徴は、常に身近にあること、常に敬意を払うことによって、そのバッチのためには、命を落とすことも厭わなくなるものです。弁護士バッジはそれをひけらかすためにあるのではありません。それは弁護士のプライドの象徴です。民衆への奉仕、人権と自由への貢献、それは強い義務と自己犠牲をともなうものです。弁護士バッチを付けていることは強い義務を果たす決意であると言う意思表明であり、弁護士のプライドの証しなのです。
今の時代、弁護士をしているとどうしても離婚事件の相談が多くなります。私がこれまで離婚事件を数多く担当して、率直に分かったことがあります。それはこの世の中で最も難しいことは何かということです。司法試験の合格も難しいかもしれない。月に人間が行くことも難しいかもしれない。首相になることも難しいかもしれない。しかし、この世の中で一番難しいのは自分の妻と自分の母親を仲良くさせることです。これは難しい。最も素晴らしい妻と最も素晴らしい母親でもうまくいかない。おまけに最悪なのは世の中の男性、夫がこのことを知らないことです。「こんなにお前のことを思っているお袋とどうして仲良くできないんだ」と思ってしまいがちです。この思い違いから、本当は別れなくてもいい夫婦が険悪になっていきます。相談にのっていて残念な思いをしたことが幾度もあります。夫の苦労も多いのですが、この世の中で一番難しいのは自分の妻と自分の母親を仲良くさせることだということをぜひ理解して下さい。
1994年1月から2002年末まで私は小笠原忠彦法律事務所という名前で事務所を経営していました。2002年の9月11日の夜に長倉智弘弁護士と話をして、一緒に事務所を開設しようということになりました。話がまとまってテレビのニュースを目にしたときニューヨークの巨大なビルに旅客機が突っ込んでいく映像が映りました。大変な事故が起きたと思いました。ともあれ、事務所を始めることになり、名前をどうするかということになりました。長倉弁護士は環境問題に関心があり、私も環境は大切だと考えていたので、環境や自然をイメージした名称にしようと思いました。それで「みどり」とか森とか考えたのですが、杜の字をつけることにしました。山梨県は旧国名を甲斐の国といいます。それで甲斐の杜がいいのではないかということになりました。杜は語感として守るに通じるものがあり、権利や自由を守るに通じるものがあるような気もしました。それで甲斐の杜法律事務所としたのですが、なかなか気に入っています。